2つの法事 5月連休話題
連休は良いものだ。
しかし、
世の中はそんなに優しいものではない。
この連休中に2つの法事があった時、それは過酷なものとなった。
4月29日と5月6日
連休の始めと終わりにその法事はあった。
2つ共 奈良の山の中でその法事は行われた。
春、一斉に芽吹く山全体の新緑。
奈良吉野の山は、美しい。
吉野へは2つの入り方がある。
1つは下市町経由で入る東吉野。もう1つは、五條市経由で入る西吉野。
よく知られている事だが、
西吉野は女優「尾野真千子」の故郷でもある。
西吉野で女優「尾野真千子」はその旅立ちの準備をした。
『萌の朱雀』という映画を河瀬直美監督が撮り、その主人公として、当時西吉野中学生だった尾野真千子が「奇跡的な偶然」で選ばれたのは有名な話。
その理由は私の両親が両方ともこの西吉野町の出身であるからだ。
その二つの家で、法事が営まれた。
宗派によってその法事はそれぞれだが、浄土真宗の法事は、経本を最初から最後まで勤めるという非常に原則的なものであった。
休憩も挟んで、約二時間。「ごえんさん」、僧侶はおもむろに経本を取り出し、仏説阿弥陀経を唱える。参加者は老若男女。
私はお経の本を貪るように見つめ、続く。
どこかで見たことのある四文字熟語が続く。
印度西天、五体投地
などの熟語を発見して、面白いと思う。
インド西域の意味と体を投げ出して祈る
そのような意味だ。
まさしくこのお経は、仏教の歴史やその根本理念を我々普通の人間に諭しているのでしょう。
まあしかし長い。
この長さに耐えられるかどうかが、旧システムとその作法を受容するかどうかの境界だ。
私は体をもじもじさせながら、足を正座から、胡座に組み替えながら、この二時間を耐えた。
この法事を一週間に2回繰り返したのだ、
それはもう修行に近かった。
そしてその後、車座になって、一同会しての会食。
これがまた都会ではほとんど見られない、総当たりの懇親会。
記念写真あったり、子供さんが結婚したということで、その連れ合いが紹介されたりといったかなり人間関係で言うと密度の濃い会食であるわけだ。
現代に生きる私達は、今2つのシステムで生きているのではないか。
機能重視の都会デジタルシステムと中身重視の田舎アナログシステムだ。
私は両方のシステムにどっぷり浸かっている。
いわゆるデュアルシステムだ。
人間である限り、完全なデジタル化はできない。
しかしこのアナログシステムは、続くのだろうか。